2018/10/22 13:37

山深い飛騨高山に、男深い皆様がお集まりになられました。


冬のスノーシーズン、スキー場に足を運ばれる皆様にとって飛騨高山は「遠いところ」というイメージを持たれております。東海地方や近畿地方からはやはり奥美濃エリア。高鷲やダイナランドなどへ向かわれる方が多いのでございます。

分かります。高鷲から飛騨高山まで車でおよそ40分でございます。往復ですと1時間20分でございます。皆様遠いとおっしゃいます。分かります。この時間を割くか否か大きな問題でございます。しかしながら多くのお客様が今回ご来高くださいました。

業界関係者から一般の皆様まで、地元の方々から遠方の方々まで、「300名お集まりいただきました」と、昨日パイルドライバーへお邪魔致しましたら大役を終え気持ちが抜けきった髭のおじさまが仰っておりました。

KAMIKAZU 試写会・パイルドライバー30周年というダブルメインのイベント。
30年間飛騨高山のスノーボードシーンを支え続けた髭のおじさまのスピーチ。感動いたしました。私も22歳頃からお世話になり、お付き合いもかれこれ20年を超えてまいりました。コメカミチョッパーズというパイルドライバーのスノーボードチームがあり、このチームで楽しいスノーボーディングを経験できたおかげで今があるような気がいたします。


そしてKAMIKAZU

國母和宏。
國母和宏のスノーボーディングを始めて見たのは彼が小学生の頃、北海道真駒内スキー場のハーフパイプでした。やんちゃな大人たちに混じって小さな彼は意気揚々と滑っておりました。上手いだけではなく楽しそうに歳上のにいちゃん達と滑っていたのを覚えております。そんな彼は10代にして世界の舞台に立ち、コンテストやメディアの世界で輝かしい活躍をされてきました。


布施忠。
こちらでもご紹介させていただきました彼とも20年来のお付き合いでございます。今回のご来高でも昔話をしながら「続けるって大切だし、こうやって今も一緒に居れるのは素敵なことだよね」なんてお互い40を超えしみじみとお話ししておりました。以前にも書かせていただきましたが、当時彼は誰よりもスノーボーディングへ情熱を持っておりました。いい車に乗るわけでもなく、いいものを持つわけでもなく、稼いだお金は新しい地へチャレンジするために使う。20年前の彼は、ザック一つとスノーボードケース一つで旅に出ておりました。靴下やパンツなどは毎日洗面台で洗い、どんな深酒になろうとも誰よりも早く起きストレッチをして山へ向かう。そんな彼でございます。

今回試写会で観た作品「KAMIKAZU」は、これまで観てきたスノーボーディングムービーとは違いました。

異質といえばそうであり、本質といえばそうである。これまで滑り以外の要素をも詰め込んだ作品を見慣れている方々にとっては異質に感じるでしょう。滑りにのみ焦点を当てた作品というのはこれまでも記憶にありません。スノーボード創世記と同じシンプルさと潔さに、彼らの持つ奥深さがプラスされたような作品。

私にとってはまさに王道。憧れ続けるかっこいいスノーボーディングの王道をとてつもないパワーを持って突き進んだ作品でした。

彼らはこの作品について多くを語りませんでした。ただ一つ語ってくれた事、それは

「説明や後書きを必要とする滑りに興味はない」

世界という大きな舞台でトップを走り続ける男達の覚悟を感じました。

一言、作品を見た後の感想を。

「体の芯が震える」

KAMIKAZU / 10月30日発売